買い物にわくわく

図面や工事の計画と同時に、新規で設置する各設備について調べ始めます。
即ちキッチンやバス、トイレに洗面、サッシなど建具、他の設備や什器などについてです。

これまで、そういった方面に全く興味がなかったので無知中の無知、だから何を調べても新たな発見があり面白くてこんな世界があったのかとわくわくします。
同時に、その価格にも初めて触れて、高いとは思っていたがほんとに高いなあと実感。

1階の表通りに面したところは大きな出窓の作りになっていて、予定ではこれをぶち壊し、大きな入り口を設けて自動車が入るくらいにしたいと目論んでいました。
それで、その大きな入り口として、店舗でよくある、サッシの折り戸をつけたいな、と。

色々調べ上げた結果、トステムのラクタスというシリーズがなかなかいい感じ。これいいなこれいいなと唄いながら値段や工事代金を調べると、当たり前ですが立派な立派な価格です。
この時点ではまだ諦めておらず、他の工事代が安ければこれにしよう、と、半ば決定してわくわくです。
1Fの店舗が画廊にもできそうなお洒落なアトリエになる予感。うふふふふ。

まあ、現実はとても厳しいのでそういう夢は砕け散るわけですが、設備の選定は楽しいひとときで、まさに夢中になります。
住居スペースに必須の水回り設備についてはさらに夫婦でわくわくです。

キッチンメーカーのサイトを見て回り、あれがいいなこれがいいなと、ハイカラなデザインや細かなギミックに大興奮です。
「パタパタくん最高」「降りてくる吊り戸棚べんりそう」「今時のデザインはかっこいいなあ」などとはしゃぎます。もうほとんどアホです。
そのうちにショールームというものがあると知り、毎週見に行くようになりますが、そうするとだんだん慣れてきて、最初とは印象が変わってきます。
しつこく見に行って、しつこく調べ上げ、しつこく悩むことは重要です。
そのうち「パタパタ?あほちゃうか」「馬鹿馬鹿しい。小手先のギミックに騙されたら駄目ね」「またこのデザインか、こればっかりだな。センスないな」「安っぽいねえ」
・・・・まことに身勝手なものです。

内装図面

2007年3月。まだ購入の意志を伝えていない段階で内装のプランを練り始める。
改装計画においてすでに決定していることは以下の通り。

1.設計は俺がやる
2.工事は超短期間・低価格でやる
2-1 超安い工事屋さんに頼む
2-2 超安くない場合、出来る工事は俺がやる
3.仕上げ工事は俺がやる
4.キッチン、トイレ、洗面、給排水設備は全て一新する(発注)
5.電気配線、設備は全て一新する(発注)

そこで、設計を開始するわけです。どう考えても、素人のなんちゃって図面です。

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中央の階段を撤去する方向
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中央の階段を撤去しない方向

 

この時点でのポイントは、2階から3階にかけての、中央の階段部分を撤去しない方向を検討している点と、水回り設備移設の可能性。

大きなコストがかかると考え、現状を維持する方向を模索している状況です。
後になって思い返せば、そんな箇所より、より大きなコストがかかる場所について考えが及んでいないのが滑稽でもあります。つまり、外壁の修理や建具、仕上げ工事です。

まあとにかく、この時点では「階段を残す場合どうか」「トイレや水回りを移設するのは難しいのか」と言った事ばかり考えてます。
住居スペースとなる2階と3階については悩みに悩んでいます。

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2階のプランいろいろ

 

悩んでいると言うより、どう見ても楽しんでます。

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3階のプランいろいろ

 

階段と水回り以外に「壊す壁を最小限にするにはどうすべきか」と考えている節があります。
これも後になって滑稽であることが明らかになります。
つまり、解体屋さんに対して「ここは残して」「この線まで壊して」と、細かく指定すればするほど、解体に時間がかかり、仕事に丁寧さを求め、結果より高くつくわけです。
「全部やっちまって」と頼めば、1日で全部破壊してくれるんです。
ただしその後作るのが大変になりますが・・・

計画の概要

2007年3月。ざっくりの計画段階。最初の構想です。

このときには、まだ実際の建物の細かな状態をちゃんと把握していないために、プランとしての詰めが甘いのです。
そこで、やらねばならぬことも含めて箇条書きにしてみたわけで、購入検討中の最初のプランメモです。
とにかく安く改装することを目指しているので、書きだしたものの実現可能かどうかはまだ未知の状態、寸法の怪しい間取り図を睨みながら構想を練ります。
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■事前準備
・屋上芝生、物置、店舗エアコン等の設備撤去について
・解体について – 解体費用の見積もり

■階段室(建物の西側にある階段はビルの階段室のような作りなのでこう名付けた)
・天井裏確認、場合により解体
・クッションフロア除去
・壁面のざらつきをどうするか – パテ、壁材、研磨、その他の可能性
・井戸 - 調査必要
(そう。階段室の1階の奥に、井戸ポンプを発見したのです)

■1F
・厨房、店舗設備の撤去、クッションフロア剥離
・床レベル - 左官依頼
(厨房部分と客席の床レベルが異なっている)
・電気設備
全部やり直し、機器全変更
・天井解体、天井裏点検
・壁面解体、造作、仕上げ
・表通りに面した部分の全解体、入り口、建具、表面の作り直し
・道路に面した部分の勾配工事
・トイレ、洗面の交換
・給排水管交換
・ガス管撤去
・入り口2のサッシ交換

■2F
・間取り全変更(1フロアにする)
・天井解体、新造作
・壁面 - 既存壁面を残すか解体するか・・
・トイレ移設、洗面、バスは交換
・照明等電気設備の計画

■3F
・トイレと押し入れを残す可能性大(後に変更した)
・間取り変更
・壁を残し、クロスまたは塗装をし直す(後に変更した)
・電気設備
・天井解体、新造作

■屋上
・防水
・サビ落とし、鉄部再塗装
・亀裂処理

■外壁
・外壁塗装
大雑把ながら、やること多すぎて眩暈がします。

決定の条件

物件購入の条件は、思っている通りの全面改装が出来るかどうかです。物理的にも予算的にもです。
そこで、最終的な結論を出す前に、改装のための条件を書き出して可能かどうかをチェックします。
現状の間取りはこうなっていまして、何と言っても屋上が魅力的。問題は間取りの大がかりな変更です。
現状図面
まずは、全解体が可能かどうか。
鉄骨造りとは言え、間取りの柱や壁が撤去不可能な可能性もあり、最初にチェックすべき項目です。これが駄目だったらこの物件はいりません。
次に、2階~3階の建物中央の階段、これを撤去可能かどうか。階段を撤去し、設計を最初から構築出来るかどうかもポイント。この条件も外しがたい。
水回りの移設も重要なポイントです。特に2階のトイレの位置は現状許容できる位置ではないため、必須項目となります。
その他、1階の厨房解体や給排水設備の交換など、とりあえず現実的に工事可能かどうかを工事屋さんに尋ねたところ可能であるとの判断。
予算的にも目玉の飛び出る価格はないだろうとのことで、大雑把に見積もりを依頼して、この物件を大改装することが決定しました。

次の内覧

再び内覧に赴くことに。
すでに物件の吟味ではなく、改造計画を立てるための下見。仲介屋の紹介による大工を連れて、壁の向こう側や床のその下、天井のその上など見えない基礎部分を確認。

どこまで壊し、どこまで現状で使用するのかを考えるための下見なので、キッチンの換気扇がどれほど汚れていようが、水回りが不安だろうが気にも止めない。
ただ、1F店舗設備や屋上のどろどろ植物など、撤去してもらう分は撤去してもらわないといけないのでそういったところを重点的に見る。

そしてさらに重要なのは寸法。
もうすでに工事業者のようにあちこちの寸法を測りまくりです。
それでも、後になって抜けているところが大量に出てきました。そんなもんでしょう。

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屋上の惨状。もはやジャングルの湿地帯状態。足を踏み入れることが出来なかった。

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屋上の物置。朽ちており、使用不能っぽい。

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1階店舗部分。営業しておらずゴミ置き場。しかし内装は結構良い。渋い。昭和のスナック喫茶ナイス。ダウンライトがたくさんあって、後にこれを全部廃棄してしまったのですが、未だに惜しいことをしたと思っています。

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カウンター内。ここは床が一段低くなっており、排水溝などもある。このカウンターを壊すのは惜しい。でも壊して床を揃える予定。

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厨房奥。営業をやめているはずなのに、色々残っている。これはヤバい。

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3階の様子。土壁は傷んでいるが悪くない作り。予算が惜しいので、このあたりは修繕で済ますかもしれない(後に変更したが)

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「階段室」と名付けた独立した階段スペース。どうやら、建築当初の図面ではここは外部であったらしい。モルタル吹きつけによる壁の造作も外部っぽい。かっこいい。

最初の内覧

最初の内覧。
驚いたことに、ここに人が住んでいる。いやそんなことを言っては失礼です。誰しも、自分たちの暮らしを客観視できずにいるわけで、いきなり他人が見たら顔をしかめると言うこともあり得るのです。

内覧に立ち会ってくださったのは、可愛い赤ん坊をだいた可愛い奥さんで、人の良さそうな人でした。しかし、この家には何の愛着もない感じで、結構投げやり。
ははぁ。ここに嫁に来たわけだな、この家が嫌いなんだな。一刻も早く売っぱらって、その金を元手にマンションに引っ越したいのだな、と勝手にドラマを想像して、頭の中でこの家族の団らん風景などを思い浮かべたりしながら、鉄骨や壁などをチェック。
どういう部分をよく見ておくか、判っているはずなのにドキドキしてあたふたして、結局ちゃんと見たような見てないような、いい加減な状態のまま退散。

後で思い返しても、何を見てきたのか我ながら要領を得ない。
ただ、変な建物の造りで面白いと思ったことだけ覚えて帰った。
さて、家を売ろうとしている人は、内覧に向けての心構えが必要です。

まず、売りに出すに当たって、家を綺麗に片づけましょう。
できれば綺麗に掃除しておきましょう。
印象を良くするために、風も通しておきましょう。
見に行く側の心構えは、・・・・・・・・・・ちゃんと見るべきところを見ましょう。

見つけた

仲介屋が紹介したS区の物件に興味を持って、それを一緒に見に行く約束をしたその日の朝一番に、HOME’Sに新しい物件が登録されたのを発見。

S区をキャンセルし、少し猶予をもらうことにしました。
見つけた物件は、O通りに面しており、現在の住居から2Kmしか離れておらず、鉄筋3F建てで1Fが喫茶。で、築27年かなりの破格。

「怪しい。この物件も怪しい。価格も怪しい」とまず怪しみました。「怪しい怪しい」と呟きながら、特定しにくい僅かな情報を頼りに、まずは私たち夫婦だけで物件の偵察へ。

「この辺か」「この辺よ」自動車をすりすりと動かしながら偵察。自分たちのほうがよほど怪しい。「あ。もしかして、あれか」そびえ立つ建物。「あれよ」
「すごいな」「すごいわ」

その建物を発見した私の第一印象「これに決まりだ」
しかし同時に妻は「これは駄目だ。やばすぎる」と思ったらしい。

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破れたテント、放置され生い茂った植物、入り口付近の造作は腐ってぼろぼろ、汚れた壁、これはかなりの怪物件。うずうずする。
しかし結局、正式な手続きを踏んで、内覧させてもらうことにした。

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探す毎日

不動産情報のサイトに片っ端から登録して、条件で絞り込んで探します。
住所は現在と同区内、鉄筋3F建て、1Fが作業場か店舗かガレージ、家の前に車が止まる広さの通りに面している、そしてなにより低価格。
さてそんな都合の良い物件が簡単に見つかるわけありません。
数ヶ月間、毎日中古物件探しに明け暮れ、候補として挙がったのはわずか4物件ほど。そのどれもが購入する気になれないものばかり。

例えばあるとき見に行った物件は、1Fが怪しそうな事務所、2F部分が80帖の和室大広間。床の間があり、奥に行けば3Fへの隠し通路がありまして、明らかにその筋の方の事務所です。窓も塞がれているし、この3Fへ呼び出されたら五体満足では出られなかったであろうドラマが目に浮かびます。

1Fに車が5台止まるという情報の物件を見に行ったら、こちらは完璧に工事業者のプレハブ。
面白いんだけどまじめに検討できない。個人的には工場っぽいのは大好きなんですけど。

このように、物件情報の省略された情報を元に、住宅地図を参照しながら独自調査を続ける毎日。
これはこれで非常に楽しい冒険でございました。

そんなこんなで、立地か建物、どちらかの条件を譲歩すれば割と候補があるんですが、なかなか難しいところでして。
この頃物件探しに使ったサイトは
HOME’Sや、地元の物件データベースサイト数種類。
あと住宅選びのコラムなどを読んでみたり。

物件を探し始める

何も考えずに近所で探しはじめたわけですが、さすが「立地は自慢できるほどいい」というこの土地柄、売っている物件の値段を見て腰を抜かします。想像を超えた高価格。
「駄目だ・・・」腰が抜けて立てません。
何という欲のない家主さんであったことでしょう。こんな土地の鉄筋3階建てをあんな値段で貸してくれていたとは。

これなら、引っ越しなどする必要がないではないか。しかし気持ちの傾きはもう元に戻りません。
自慢できる立地を諦めて、家探しです。

引っ越しを決意するまで

17年間住居と職場を兼ねたお気に入りの借家に住んでいて、立地は自慢できるほどいい場所だし便利だし近所の状況もいいし、借家であることを除けば理想の家でした。

家主さんも大変いい方で、ある日売ってくれないかと打診したら快くOKの口約束をもらい、安心しきっていたわけです。
ところが、ありがちな話ですが家主の親族の内のひとりが猛反対をし始めたらしく、売ることができなくなったと申し訳なさそうに断ってこられたのです。

そういうわけで、気持ちは家を買うことに完全に傾いていたせいもあって、発作的に引っ越しを決意し、物件を血眼になって探し始めました。