引き渡し直後の急ピッチ具体的計画

さて引き渡し直後から、慌ただしさがまします。

図面

まず図面を完成させねばなりません。引き渡しによってさらに精度の高い計測を行い、図面を仕上げにかかります。
カテゴリ05. 設計で示した最終的な図面は、引き渡し直後に書いたものです。
計測に使う道具は、もちろんコンベックスです。
コンベックスという言葉を知らない人もいるかもしれません。「メジャー」という人が多いですね。我々は通常「スケール」なんて呼んでますが、あれはコンベックスという測量機器です。

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コンベックスレベルというバンドがありますが懐かしいですね、あいや、2009年現在、まだご活躍ですよ。

キッチン・バス

この時点ではまだキッチンやバスなどが決まっていない状態で、それも決定します。はい決定した。
取付はメーカーサービスを使うことにしました。日当分くらいの価格で取付に来てくれるので利用しない手はありません。
キッチンやシステムバスの納入日もヤケクソで決定します。さあそれまでに壁や床が出来てなければ大変だ。

解体準備

解体の日取りを決め、解体箇所と残す箇所を決め、それをラッカースプレーで現地で記していきます。壊すところは大きく×を、残すところは「残す」と書きます。
この指定を行いながら、家中の細かい部分をチェックして回ります。
隙間、ひび割れ、補修が必要な箇所、想定していなかった場所など、いろいろ見て回るのも時間がかかります。

近所への御挨拶

工事前に、隣近所への挨拶を行います。引っ越してくる挨拶ではなくて、工務店としての工事告知です。
手土産ための洗濯石鹸などを大量に買いにも行きます。

現住居の復元

そうだ引っ越しを忘れていた。そうです。引っ越しをするわけですから、住んでいるほうの家の片づけがあります。
17年間も居たのですから、なかなか大変です。しかも自分で勝手に工事をして改造したところは元に戻さないといけません。
解体の日取りまでの数日間、復元工事と引っ越し荷物のまとめなどを進めます。

大工

大工さんを紹介してもらい、手伝ってもらう段取りを付けます。その大工さんがまた別の大工さんを喚んできて、大がかりな作業をえいやっと進める段取りです。
特に床上げや建具工事は専門の人でないと短期間で出来ません。

軽天

ついでに軽天屋も紹介してもらいます。
仕事柄、間取りや天井といえば軽天というイメージを持っています。木工の認識はなく、ぜんぶ軽天でやっても不自然に思わない。店舗や施設しか見たことがないからですね。
軽天って何やねん、とお思いの方おられますか?おられましたら、今度あらためて詳しく書きます。

設備工事

水道とガスの工事をやってくれる職人も紹介して貰いました。
気の良いおじさんです。
でも一般家庭の工事ばかりやる人なので、大がかりなことを嫌がり、ガス屋は別で手配することになりました。
水道屋さんの紹介の人と、近所のガス屋の人に同時に連絡してしまい、図らずも相ミツを取ることになってしまいました。近所のガス屋のほうが少し安かったのに、人の繋がりのほうを重視する私としては水道屋さんのお仲間のガス屋さんに決定。
現場に来てもらって、壊すところや新規に配管するところなどを説明します。

「相ミツ」って何や、とお思いの方おられますか?相ミツってのは相見積もりのことで、複数の会社に見積もってもらうことですね。
人の繋がりが特にないクールな付き合いの場合は、必ず相ミツを取りましょうね。
その際、明細をきちんと読むこと。明細項目が少なすぎると、後で追加が発生したりします。謎の諸経費が沢山あったら「この諸経費って何のこと?」と聞きましょう。

副資材

その他、隙間を埋めるための材料、さび止め、内装工事で隠れてしまうところの補修材いろいろを買い物します。ホームセンター様様です。
とりあえずはシリコンと変成それぞれコーキングを二ケース、さび止め一斗缶、発泡ウレタン、副資材としてブルーシートや養生材なども買いに走ります。

材木

材木屋も探しました。住んでるほうの家の近所にいい材木屋があったので挨拶しに行く。ご近所ですなあ、どもども、なんて言って顔見知りになってから後で色々世話になったり無理を聞いて貰ったりします。

*

本当は、解体してからゆっくりと改造計画を練りたいのです。だって解体してみないと判らないことが8割以上ありますから。
どんでん返しがあるかもしれない、思わぬ作業が発生するかもしれない、設計の変更がしたくなるかもしれない。

本来なら、解体した状態をゆっくり検査してから計画を進めるべきなのですが、何しろ時間がないで「解体を含めて10日」が猶予です。なんて無茶な。

そして工事期間の予定は、驚くなかれ50日(土日盆休み含む)です。あまりにも無茶苦茶な計画ですがもう始まってしまったものは仕方がない。
やるしかない。

さて、そんなこんなで、あっという間に一週間が経ち、いよいよ解体です。我らが解体屋、チームKの頼もしい職人がやってきます。

探索 屋上のビフォー状態

 

さて、引き渡し当日の状況、つまりビフォー状態の詳細であります。

当ブログの記事「カテゴリ 物件:次の内覧」との写真比較もどうぞ。

契約当日の探索、ビフォー状態の最後は屋上の様子。

引き渡し前の屋上写真をご覧になりましたか?
生い茂った植物、湿った人工芝から生えた雑草や苔、まるで密林の秘境、亜熱帯の湿地帯、障気漂う妖怪変化の蠢く底なし沼のほとりのようなあの屋上のゴミや植物が、売り主側の仲介屋さんの取り計らい、解体業者さまの活躍によって綺麗さっぱり撤去されています。
以前は靴を履いていても足を踏み入れることができなかったジメジメした地面のコンクリートが乾燥した顔を出しています。
素晴らしい。
これぞ屋上。
そもそもこの物件の一番の注目どころは屋上であり、屋上があるから購入候補になったのであり、屋上があるから欲しくなったと言っても過言じゃありません。
東の彼方にそびえる山にはくっきりと「大」の字が。北西に見える山にも「大」の字が見えます。
空は広く、まぶしいです。
暗い家中探検から一歩屋上に出た我々の目に太陽の光が突き刺さり、どうやらカメラにも突き刺さり、瞳孔が縮こまる前にシャッターを切ったものだから写った写真もまぶしそうです<いや単に露出オーバーだろ

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さて、興奮を抑えて屋上の各箇所を見てみましょう。

1 屋上出口

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屋上へ出る階段室の最上階。実質4階部分。物入れもあります。

屋上の地面は、防水のボの字も残っていないありさまです。コンクリートには少々のクラックもあり、防水工事が必須とわかります。

2 物干し

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屋上へ出てすぐのところには物干しが作られています。波板も一応無事です。大分錆びていますが十分使えそうです。

3 手摺

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手摺の錆びも相当なものです。これはきちんとメンテしないと大変なことになりそうです。

4 謎の給排水設備

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給排水と思しき設備。給水2個と排水らしきもの1個。さては水が使えるのでしょうか。
3Fのところで気になった「東の部屋の南側の壁の出っ張り」がありましたが(これ

実は屋上のこの給排水システムの3本の管が、3Fのあの壁の後ろを通っていました。
結論から言いますと、一本が上水道、一本が井戸水、太いのが配水管でした。
後に、全ての配管を新品に交換したあと、喜びいさんで屋上のこの場所に蛇口をつけたのですが、結局水は出ませんでした。
何故水が出ないのか、いずれ研究結果をご報告したいと思います。

 

探索 3Fのビフォー状態

 

さて、引き渡し当日の状況、つまりビフォー状態の詳細であります。

当ブログの記事「カテゴリ 物件:次の内覧」との写真比較もどうぞ。

つぎは3Fの様子。

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図面の番号と写真の方向が符合します。

このフロアはそつなくまとまっていますね。
1のあたりは子供部屋だったのでしょうか。孤立した六畳間。
外の階段室と内の階段を繋ぐ廊下があり、壁際にトイレと押し入れがあります。
和室の六畳間と床の間スペースのある大きな八畳間が繋がっており、明るく広々とした感じです。
図面では左側、実際には南側にあたる壁には各部屋に大きな窓があります。
昔はこのあたりに3階建ての家がなく、きっと明るい日が差し込んでいたことでしょう。
今は50cmほどしか隙間のない隣家の三階部分が日差しを完全に遮っています。
隣家建築時の諍いが目に浮かびます。何があったんでしょうか。ドキドキ。


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1 暗い部屋

元は明るい部屋だったであろう、今は暗闇に近い暗さの孤立した六畳間。ストライプの壁紙です。子供部屋です。怖いです。

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2 二階と三階を繋ぐ階段

ここにも窓があります。今は暗いです。この階段は不用なので亡き者にする予定です。

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3 矢印の方向を望む

出窓からの明るい日差しが見えます。

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4 こちらにも窓

もうとにかく窓だらけの家です。壁の強度は大丈夫なのかと思うほどです。


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5 南側

図面では左ですが、実際はこの矢印方向が南です。東向きの出窓と相まって、とても明るかったのだろうと思われます。
窓の左側、壁が少し競り出ています。この出っ張りはなんでしょうか。謎です。

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6 北側

北側には窓がなく、大きな仏壇の後があります。仏壇の横は床の間でしょう。この部屋は暖かく厳かな雰囲気です。

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7 出窓の庇部分のアップ

板が腐って剥がれ落ちかけています。解体して貼り直さなくてはなりません。

東側のこの部屋は、間取り的に問題がなく、レトロな木製の建具もなかなかいい感じなので、当初は手を付けずにいてもいいと考えていました。
トイレと押し入れも、改造計画においては同位置のままにすることが決定しています。そのまま使えれば言うことなし、トイレさえ新品と交換すればもうそれでOK。
階段を潰すことと、多少の間取り変更だけで済ますつもりなので、三階に関しては少し安心し、甘い考えに支配されていました。
その考えは解体工事が始まってもまだ残っていて、最初の解体のときは東の部屋とトイレと押し入れは手を付けずにいたわけです。
ええ、そうです。あの恐ろしいおぞましい情景をまだ知らないのです。
と、まだまだ引っ張りながら次は屋上へと向かいます。

探索 2Fのビフォー状態

 

さて、引き渡し当日の状況、つまりビフォー状態の詳細であります。

当ブログの記事「カテゴリ物件:次の内覧」との写真比較もどうぞ。

今回は2Fの様子。図面の番号と写真の方向が符合します。

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このフロアの間取りは何とも奇天烈な作りです。

1の玄関のような出入り口から入ってきて、トイレがある右側のスペースがミニ廊下、四畳半を通り抜けないとキッチンへ出られません。
また、中央左側になぜかもう一つ階段があって、3Fへと続きます。
ちょっと迷子になるような作りです。
予定では、トイレ、その付近の押し入れや廊下、階段などをすべて解体して撤去し、フロアを広げるつもりです。


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1 出入り口

現状では、階段室が土足で、ここが玄関の扱いになっています。据え付けの下駄箱も見えます。立派な建具が付いていますので、これは壊さずに使う方向で検討です。

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2 窓

大きな窓が目立ちます。
この部屋の壁は昭和の一時期流行した板目の壁です。
解体、改造計画の中で、間取りの変更に伴う壁の撤去は想定していましたが、続きで広がっている建物の内壁のことをそれまで考えていませんでした。
間仕切りを取るのなら、当然この外壁側の壁も撤去せねばなりますまい。
しかしそうすると、壊すところ作るところが多すぎないか。
そうです。アホな私は、内側のすべての壁についての考えがなさ過ぎたのです。
これを全て作り直すとすれば、それは「間取り変更」程度の作業量ではなくなります。
この時点ではそれでもまだ「残せる壁は残しておこう」と考えていたのであります。

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3 シャンデリア

同じ部屋の天井はこのように凝ったものになっております。天井の段差の造作にシャンデリア、なんとも勿体なく思うものの、もはやこんなものに未練はありません。合い言葉はぶち壊せです。

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4 四畳半

小さくて多い間取りも、昭和の流行、というか常識でしょうか。
ここに四畳半の部屋があります。
当然ぶち抜きます。
もう、壊すことばかり考えているので、こういう壁を見ても何とも思いません。

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5 四畳半の窓

この建物は、やたら窓が大きく取ってありますね。
さきほどの話の続きですが、こちらの外壁側の壁も、最初は壊すつもりじゃなかったのです。
壁を削って下地をして、上塗りで済ませるつもりでいたわけです。
だからこの壁を見ても、とくに何にも思わなかったのです。
状況は後に変わります。あのおぞましい、恐ろしい出来事に遭遇していなければ、大改造はもう少し規模の小さなもので済んだことでありましょう。

さてところで、このフロアはこれより先の写真が残っていません。というか撮っていません。
もともと、記録として逐一カメラに収めとうとは思っていなかったためでもありますが、ここまで撮って続きの写真を撮っていないのも不自然。これにはきっと理由がある。あまりにもおぞましいキッチンと風呂場の状況を見て、目を背けていたとしか考えられません。たぶん、無意識に遮断していたのです。
現状などもうこれ以上見たくない、こんな状況はなかったことにしてしまいたい、一刻も早く解体したい、そんな気持ちしか持ち合わせていなかったからではないかと推測しています。

探索 1Fのビフォー状態

さて、引き渡し当日の状況、つまりビフォー状態の詳細であります。
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まずは1F。
図面の番号と写真の方向が符合します。


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1 裏の入り口の門扉

門

 

奥の引き戸玄関のポーチにある金物の門扉。これが妻に大変不評で、解体時に取っ払うことが決定しています。でもそれより玄関引き戸自体を交換すべきなのですが、玄関引き戸のサッシ、お高いですね。。。
いつか、玄関の交換を自力でやってみようと思っています。
地面のタイルもすでに歪んでいます。玄関工事のときには、この不陸も調整したいところですが、左官の腕前はレベル0状態です。これは自力では無理かもしれません。


2 トイレ

トイレ

きらびやかでえげつないトイレがあります。濃紺タイルに怪しいデコ照明、何なのでしょう。でもこれは面白いので残します。
このトイレを綺麗なものに交換する予定は当分ないでしょう。いつか、ここでお店をやるときには交換たいところです。

 

3 元厨房

厨房 厨房

おおお。おぞましいです。恐ろしい汚れようです。厨房は怖いです。何が怖いって、このときにはまだそれには想像が及んでいません。
ここに見えるガス湯沸器やレンジフードは、この日のうちに撤去していただきました。

4. 厨房の間仕切り壁

厨房入り口

可愛いアーチ型の開口の向こう側がカウンター内になります。
この仕切り壁はモルタルでがっしり作ってあり、撤去するかどうか、撤去できるのかどうか判断が付きかねています。
撤去しない場合、この厨房部分が小さな部屋になり、物置か小さな事務ルームにもなります。それも有りかも。
本当は壊したいが、大変そう。可能なのでしょうか。解体屋的には「やれるけどやらないほうがいいのでは?」とのこと。


5、6 カウンター

カウンター内部 カウンターから

カウンターもしっかりしています。据え置きというより、モルタルの造作です。
これも壊すのが惜しいが壊さないと何も進まないのでやっぱり壊します。
床は客席より40cmほど下がっており、ここは左官で埋めてもらい、床レベルを合わせる予定。
左官屋さんのアテはまだない。
カウンター上部の天井の造作やダウンライトもかっこいいけど、これも全て破壊します。
いやほんとはこれ、写真では分かりにくいかもしれませんが、相当な汚れ具合というかえぐれ具合というか臭いというか、形はかっこいいし気持ちは残したいけど、見たら「全部壊しちゃって!」と叫びたくなりますよ。だから壊します。
棚は残しますけど。後に、二日かけて洗浄と消毒をいたしました。

7 出窓

 

出窓

怪しい出窓。ここは、この面自体を全て破壊して折り戸を付けます。車が入るようにします。
この出窓の下部分、大理石風の部分ですが、ここがすごいことになってます。それは後で判明しますが、証拠写真もないので今書きます。
この大理石風のパネルを引っぺがして下地を破壊すると、なんとその下からタイル張りのプールというか水槽が出てきたのです。
その水槽というかプールですが、おかしな噴出口のようなものも確認され、5の写真の奥に見える箱形の装置と繋がっており、なななんと、噴水設備でありました。
なんという恐ろしいお店でしょう。出窓の下に水槽があって水が注がれ噴水のような演出が施されていたのです。
驚くべき昭和の店舗。

それにしても金かかってますね。どれもこれも作りがしっかりしており、モルタルは厚いわ鉄骨は太いわ装飾器具は凝ってるわ、古き良き時代を彷彿とさせるアイテムに満ちています。

引き渡し

 

いよいよ最終的な契約と引き渡し。今は2007年6月22日であります。

わらわらと銀行に人が集まり、書類が行き交い札束が乱れ飛び、突然現れた代書屋が大金を掻っ攫っていったり売り主に渡されたゲンナマがそのまま奥の通路で待機している息子へ手渡されたりと異常世界の魑魅魍魎たちがひとときを過ごした後いよいよ引き渡し。

前にも書いたように、契約上に記していない大物廃棄物の撤去を売り主側がやってくれていて、解体業者が大きな作業車2台と共に作業中。どんどん大きなゴミが運ばれていきます。
あぁこれを自腹でやったら結構大変だったなあとその時実感。

契約の日の午後には、工務店社長と友人の解体屋社長を呼んでおり、いっしょに改めて下見することになっていまして、空になったお家、今は自分たちのものになったボロ館を探索します。

工務店に貰っている見積もりはとても安く、半ば任せようと思っていたのですが、明細を見ていくと、とてもこのボロ館に対応しきれていない、即ち、明細に載っていない項目が私の目にも明らかなほどに沢山あるわけです。この見積もりは簡易なリフォーム程度しか想定していない。
工事進行に合わせて追加工事が発生するのは火を見るよりも明らかであり、安い見積金額で釣っておいて最終的にはきっちり頂きますよという気持ちが行間に詰まっています。
もちろん、工事を始めてみないことには判らない項目はあるだろうし、決して悪徳とは思いませんがもう少し丁寧な対応を望んでいたので、実際の建物を探索しながら、一項目ずつチェックして、改めて見積もりを作ってもらいたい旨を伝えます。
「わかりました。細かい見積もりをもう一度作りましょう」
と、帰って行った工務店さん、その後、一週間連絡がありませんでした。一週間は貴重なので、もう無視して自分でやることにしたのです。

片や友人の解体業社長、彼は実はインテリで芸術家なのです。細かく建物を見て回り、私のやりたいことを把握し、金がないのを了解してくれました。
「職人が暇にしている時に非正規に回してあげよう。安くできるし、こちらも遊ばせておくよりも助かる」
固い握手で約束して、最もドキドキすべき解体作業についての諸問題が一気に解決。あとはどこをどう解体し、どこをどう残すかをきっちり指定しておくのが私の任務です。

ガス・水道

 

ガスと水道の簡単な図面。
ガスや水道は、現状からどのように変更したいかという希望だけを印として書いたメモ程度の図になりました。
この時点ではまだ床下の配管がどのようになっているのか確認できないために、また、工事費用が少しでも安く済むようにと、少ない移設距離を意識してメモしています。

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しかしまあ、移設の距離がどうだろうが、結局は配管全部を新しくしたのだから、元の場所からどの程度動いたのかということは全く無意味なポイントだったのです。

当然ながら、新しく据え付ける設備の位置が肝心なだけです。そりゃそうですね。

電気の計画

電気工事は無資格者がやっちゃいけません。正しく電気屋さんに依頼します。
以前の家でもお世話になったことがあるN川電気さんに今回工事をお願いすることが決まってます。
そこで、電気設備の希望を伝えるわけですが、さあて困った。何をどう指定して良いのやら全く判らない。手当たり次第に検索し、勉強に励み、何とか希望を伝えられるような図面が書き上がりました。

ブックマークに残ってる知恵を授かったサイトは、ショーエイ電気さん、ハウジングナビ、超初心者による建築設備設計・管理業入門センターの記号説明コーナーを始め、多様なサイトさまたち。おかげさまで少しかしこになりました。

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N川電気さんはこの図を見て「ふんふん。わかりました。じゃ、一式でやりましょう設備機器は自分で勝手に買ってきてね。付けたげるから」
なんという奇特な電気屋さん。よし電気はOK。

しかしこの後、電気設備機器の選定でまた検索づくしの勉強まみれで知恵熱が発生したのであります。
照明機器、ダクト換気扇など、なんでどうしてあれほど種類が多いのですかっ。
メーカーサイトの設計用型番データベースを前に一瞬脳味噌がトコロテン状態になります。
もうわけがわかりません。トコロテンになった脳味噌をもみほぐして脳味噌に成長させてから、諦めて型番研究に没頭しました。

なーに。キッチンやシステムバスでやったアレをまた繰り返せばいいんだろ。わはは。かかってこい。
そして、数百ある機種の中から、換気扇や照明器具を選定し、それを安売り屋やオークションを利用してウルトラ破格で買いそろえ、電気工事に間に合わせるという奇跡の段取りを成し遂げました。

ま、実際の工事はもう少し後。とりあえずここでは図面の完成のみのご報告。
あんなに集中して覚えまくった規格や種類、型番や特徴など、今ではすっかり忘れてしまっていますけど。

内装計画

そうこうしているうちに、契約が成立し、声をかけた色んな職人にも相談しながら、より具体的な内装計画の図面が出来上がりつつ。
この図面は実は工事が始まってから変更箇所が発生し書き直したものですが、まあ大筋では物件引き渡し直前にはこのように計画が具体的な形になってきたという感じです。
主に間取りを決定する内装計画。

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1Fは、トイレと棚を残しすっからかんにします。入り口ファサードの折り戸は、4枚折り戸+ドアの組み合わせになりました。折り戸だけでは、一枚あたりの戸が大きくなりすぎるという指摘を受けたからです。

残す棚はこんな感じで、喫茶のカウンター後ろにある据え付けのやつです。これ残しました。

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2Fも基本的にすっからかんにして、住環境用設備をこのように配置。キッチンと風呂の位置自体は変えず、窓や換気扇口を無駄にすることなく新設できる案配となりました。

3Fは途中で間取り変更があったものの、結局間取りを作るのを最小限に抑えたこの形になりました。この家にはトイレが3つもあります。トイレばかりです。
(しかし3Fのトイレは2009年夏現在、まだありません。トイレ予定地はちょっとした物入れと化しています)

この図面が完成するのに要した期間は、勉強時間も含めて4ヶ月。工務店さんにも「良くできている」と褒められた。
しかし結局、工務店に工事を発注することはなかったのでありました・・・

さて図面を描いたソフトはCADじゃありませんで、使い慣れたIllustratorです。
Illustratorのプラグインに、CADToolsというのがありまして、このプラグインのおかげで正確な図面がすらすらと書けます。すばらしい。最新版はバージョン6のようです。