3Fの何故か残った変な物体

7月13日夜。「のこし」と書いたトイレと押し入れセットがまだあります。
他は綺麗さっぱり解体され掃除もされています。
はてな。なんでだろう。これはどうしたことでしょう。

三階の残し

三階の残し

どうしたもこうしたもないのです。

私が、ここもやっぱり壊すことにした、とチームKの親分に変更を言い損ねていたのです。あるいは、変更を伝えた時点では、性懲りもなくまだここを残すつもりでいたようなのです。
なんという馬鹿者でしょう。

今後の工事予定も目白押しです。もう猶予はない。
自分で壊すことも試みたのですが、どうせ廃棄物処理をお願いしないといけません。仕方なしに、またもや解体をヘルプにお願いすることになりました。

こうして、「のこし」部分も完全撤去、先にも書いた階段室の天井めくり、廃棄物の処理を経て、ようやくすべての解体作業の完了となりました。

チームKの皆様、読者の皆様、解体作業に長い間お付き合いくださりありがとうございます。
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せっかく全ての解体が終了しましたが、何もなくなった解体直後のがらーんとしたパーフェクトな写真が残っていません。
解体が完了したその瞬間から、あまりにもやることが多くなったために写真を撮るわずかの時間さえなくなってしまったわけなのであります。

階段室の解体

階段室のフロアをめくるのもこれまた大変な作業。ここはチームKの若い衆がケレン工具で丸1日、びりびりびりと作業してくれました。

フロアをめくる作業は、みんな嫌がるらしいですね。そりゃあそうです。あんな大変な作業はなかなかありません。

階段クッションフロア剥がし
階段クッションフロア剥がし
階段クッションフロア剥がし終わったところ
階段クッションフロア剥がし終わったところ

その後、時系列的には数日後の話になるのですが、いよいよ天井もめくります。足場が悪く、これも作業しづらい環境での地道な解体です。

予想通り激しく糞固やゴキネズが降ってきます。チームKの若い衆は、もう死にたい、という顔をしながら、辛そうに淡々と作業してくれました。

あまりの地獄絵図のため、私も近寄ることが出来ず、写真もありません。

私に出来るのはポカリスエットを飲んでいただくことぐらいです。ありがとう、チームK。ありがとう、若い衆。
夕暮れのひととき、屋上で休憩します。記録的な猛暑であっても、屋上の風が極楽のように涼しいのです。

屋上からの景色

屋上からの景色

3Fのさらなる解体

残したり解体したりと、面倒な作業を指定してそのためにたっぷり時間がかかったにもかかわらずやっぱり壊したいと方向転換して職人の皆様に大層迷惑をかけた三階にいよいよ突入。

三階解体図面

赤い線で示した外周の壁全てと、妙な具合に残された赤矢印で示した壁、すべて解体します。

「最初からこうすればよかったのに」と、思わずこぼすチームKボス。まこと、ごもっともです。

三階解体済み
三階解体済み

突然すっきりした三階の様子。あぁ気持ちいい。
階段があった場所の開口がまたいい。ここに秘密のロケット噴射口を作るべきなのですが、それは我慢して、埋めてしまうことになります。

一部残し
一部残し

「のこし」がまだあります。トイレと押し入れのセットです。場違いにぽつんとあります。それに目をつぶって他を見渡せば、気持ちのよい解体状態です。

育ちが育ちなので、工場や廃ビルが大好きです。こういうがらんとした鉄骨の建物は美しいし気分が落ち着きます。
子供の頃「将来は廃校の体育館に住みたい」と夢見ていたことを思い出します。

このまま天井も壁も間取りも付けずに、そのままの状態で住むってのはどうだろう、と、半分本気で考えたりして、さすがにそれを口にすると妻は蔑んだような傷ついたような目で一瞥して「却下」と一言。

窓側

出窓のでっぱりの下。窓から雨が入り込んだりしたんでしょうね。木は腐ってボロボロ、鉄骨の錆も酷いです。しかし腐っても鉄骨。手入れをすれば何とかなりそうです。

天井側

出窓の上。造作は木で作ってあります。ちょっと作りが気に入らないがあまり痛んでもないし、大きな問題にはならなさそうです。ただし、天井工事をやって隠してしまう前にやることが沢山ありそうです。
木の状態や鉄骨の隙間などを丹念に観察。

*

この記事を書いている今は2009年7月29日ですが、記事内容の写真の日付は2007年7月11日です。2年前の同じような時期です。
「2年前のちょうど今頃」ですね。
はてな。2年前なのに今頃とはこれいかに。
暦があるせいで「去年の今頃」とか「10年前の今日」なんて文学的表現が普通に交わされる人間社会って高度。

2Fのさらなる解体

さて我らが解体のプロ、インテリマッチョマンたちと共に二階へとまいりましょう。

二階解体図面

二階の図。

薄い青色が元々の間取りです。いやあ。たくさん壊しました。
そして本日の作業は、気になってうじうじと悩んでいた外周の壁を迷わず破壊する、とても建設的な解体です。
図の左側面(写真では右側)の壁がALCで出来ています。むき出しになっても白くて爽やかです。痛みもほとんどありません。
他の面は、鉄骨とモルタル下地に使う鉄板のようなものが剥きだしになりました。見て判る通り汚い感じです。実際にかなり汚いのですが。

二階解体バルコニー側
二階解体バルコニー側

元々トイレのあった位置の上部にまだ四角く鉄骨が残っています(写真右上奥)
ここに転送装置を取り付けて瞬間移動などを行うと面白いのですけど、これもこのあと撤去しました。テレポーテーショナーはいつかDIYで作りましょう。
正面にバルコニーに出るためのサッシが見えます。このサッシは、本体も枠も完全に歪んでいて壊れてました。動かないので、壊して外しました。ここはサッシを買って付け直すしかありません。

二階解体入り口側
二階解体入り口側

階段室の方向を向いた写真。正面の板壁も取っ払ってすっきり。右側の土壁も下地もろとも解体してすっきり。
もちろん、壊した壁の裏側のCチャンの隙間には予想通りネズ公がいましたよ。どんだけネズ公だらけなんでしょうね。でも奴らの活躍も今日までだ。

さてこのとき、すっきり勢いで、ついでに窓のサッシも葬り去ろうとしてちょっと躊躇、窓も大分汚いのですがさすがにこのまま置いておくことにしました。
後になって、サッシを壊して棄てなくてほんとによかったと実感。

鉄骨にサッシを付け直そうなんて、そんな大それた事をやれば一体いくらかかったのか想像も出来ません。
買い替えはバルコニーのサッシだけで十分です。サッシは高いのです。

風呂場跡
風呂場跡

風呂場周りの壁もご覧の通り綺麗さっぱりなくなりました。窪みには、例によってコンクリートガラを埋めます。左官工事のための下地になりました。

こうして、あれこれ気をもんでいた外周の壁もすべて解体、撤去されました。二階完了!
廃工場のような姿が美しいです。

Cチャンの隙間を丹念に見て回ると、埃の固まり、ゴキ糞やネズ糞の堆積した固まり(糞固と名付けた。京都風にいえば「ふんこさん」であります)、大きいのや小さいのやミイラくんたちがまだちらほら発見されます。

勢いがあるうちはいいのですが、夕方になり一人きりになるとまた弱虫くんが顔をもたげだして、気持ち悪さに身震いし始めます。

いやほんと、あの埃と臭いと死体と糞固のセットメニューに触れすぎると、人として駄目になっていくんじゃないかと思いますよ。

そこで弱虫プロの私としては、断固として助けを求める決意をするのでした。
「そうだ。プロの掃除屋さんに来てもらおう!」
この物件を購入するにあたり大変大変お世話になった小料理屋のおかみさんがいるのですが、その方に紹介された掃除屋さんの名刺を持っているのです。
よし早速電話だ。
解体が終わる頃に来てもらいましょう。こんな仕事でも引き受けてくれるとすれば。。。

1Fのさらなる解体

さて、解体第二部の始まり始まり。
まずは一階の大がかりなハツリ作業が再開されます。

解体図面

一階の解体遍歴です。左が元の姿。前回の解体の結果、真ん中の状態になりました。本日ご報告は数字と矢印の箇所をやります。
その結果、右の図のようになります。

フロア

作業の写真はありませんが、フロアには昭和の店舗用クッションフロアが貼ってあり、これを剥がしにかかります。
厚みがあり、エンボス模様が入った頑固なクッションフロアは、ハツリ工具を使ってもなかなか剥がれません。チームKが大変な苦労をして全部剥がしてくれました。
クッションフロアの裏地と糊の跡が激しく残ります。
この裏地と糊の跡をケレンしていくのは私の仕事で、これからの数週間、時間が少しある毎に地道に少しずつ、しゃがみ込んでケレンしていくことになります。

随分あとになって知ったのですが、この時代のクッションフロアの裏側にはアスベストが使われていたらしいです。
知ったときにはすでに手遅れ。多分連日吸いまくりです。

もし私が15年後に肺癌で死んだら、それはタバコのせいではなく、このときの石綿のせいであると、皆様お考えになってください。

壁を壊したところ
壁を壊したところ

1.玄関入ってすぐの壁

玄関引き戸を通って一旦外へ出なければ店舗部分へ行くことが出来ない作りだったので、壁のこの部分を壊して人が通れる開口を作ります。
鉄骨がどこに入っているのか判りにくいので、適当にカッターで切ってから壁を壊しました。
幸い、縦の鉄骨がこの場所にしかなく、人が通れる幅が確保できたのです。

一階

2.トイレの上

トイレの上部、エアコンを付けるための下地がしてあった場所は、バールとのこぎりで丁寧に材木を剥がしていきます。
ゴキ糞ネズ糞ご遺体たちのお出迎えに吐き気を堪えての作業、でも今日はひとりじゃないから怖くないのです。
この奥は、トイレからの換気ダクトが通っているくらいで他は何もなく、空間があまってて物入れに使えそうです。

3.厨房と店舗を仕切る壁

残すかどうか悩んでいた厨房と客席を隔てる壁です。客席側には扉、カウンター側にはアーチ型の開口があるちょっと可愛い作りの壁です。
惜しいながらもやはり壊すことにしました。
チームKの屈強な男が大型のハツリ工具でコンクリートをがんがん砕いていきます。
なくなってみればすっきりしていて大変よろしい。やってよかった。
コンクリートガラは床レベルを上げる予定地のカウンター前の窪みに落として、左官下地と廃棄料節約を兼ねた賢い処理を施します。

4.入り口出窓

いよいよ出窓部分の解体です。
チームKが颯爽とガラコン*1を乗り付けています。がんがん行きます。

ガラコン到着
ガラコン到着

まず出窓をぶち壊し、その周りの壁を砕いて壊します。

元水槽
元水槽

以前お伝えした謎の水槽です。(写真、ありました)
この水槽を隠すように大理石調のパネルが覆っていたのです。
ダリオ・アルジェント的には、パネルと下地を剥がしてこの水槽が出てくるとき、是非とも恐ろしいものが 一緒に出てきて欲しかったな、と。

まさか出窓の下にこのようなものがあるとは思いもせず、またまたコンクリートとタイルの重量級ハツリが開始されました。

ファサード解体
ファサード解体

外側からもがんがん行きます。頼もしいです。
こうして見ると、柱が細いです。大丈夫なのでしょうか。少し奥に太い鉄骨がちゃんと入ってるから大丈夫なんでしょう・・・と思いたい。
フロアのケレン、細かな木下地部分、壊した壁のハツリ跡処理、電線、設備管など、細かい後処理はまだまだ残っているものの、一階の大物解体はこれにてほぼ完了です。


*1 ガラコン

はて。ガラコンという言葉、普通の言葉かと思っていたらそうじゃないそうな。
ガラコンで検索したら「がらがらのコンサート」とか、そういう下品な言葉が沢山ヒットして驚いた。
ガラコンというのはですね、廃棄物積載用コンテナ、あるいはそれを搭載したトラックを指します。
昔は何でもかんでもガラコンに放ってそれで仕舞い、という風潮もありましたが、現在は分別しないと処理場も受け付けてくれませんしガラコンの人も受け付けてくれません。

最初の解体が終わり、次の解体を確認

7月7日は七夕ですがそんなことはお構いなしに朝から自宅改修と引っ越し荷物整理でバタバタし、それから水道局へ行き開栓を依頼し、それが済んだらお留守で挨拶できないでいたご近所さん巡り、最後に現場に入って夫婦で吟味タイムです。

住空間である二階と三階をメインに、追加で解体する決意の確認がなされました。

階段の解体階段を外した跡。

階段の解体階段跡地から見上げた場所。

中途半端な柱や壁が見えます。変な残し方をしたせいで作業が難航した証拠です。

残した変なところをやっぱり解体するという、これまでのややこしい作業のほとんどが無駄になったわけです。

風呂場の解体風呂桶跡。

まだ糞が散乱しています。タイル側の壁もすべて解体します。もちろんです。風呂桶部分の段差はモルタルで埋めます。

キッチンの解体キッチン跡地。

ここもタイルの後ろはモルタル壁で堅いですが、どうせ水道も引き直すことだし、解体必須です。

さてお約束した換気扇についてご説明しましょう。
ここにキッチンのレンジフードが所定の位置にあったにも関わらず、すぐ近くの壁に穴を空けて換気扇が新設されていました。

なぜでしょう。
それは、コンロ上の換気扇が全く効かなくなったからだと判ります。
なぜ全く効かなくなったのか。それは、鳥かコウモリかネズミかイタチかしりませんが、何ものかが換気扇の出口に巣を作っていたからです。

換気扇の巣
巣です。こんな状態です。

普通に暮らしていて普通にキッチンを使っていれば、こんな状態になるわけがありません。
ここのキッチンを解体するときに、実は常軌を逸したと言ってもいいキッチンやコンロの惨状をすでに目撃しています。
・・・これ以上は何も言いいませんが、その、まぁ、そういうことです。

三階ルーム
三階ルーム

三階です。

もしこの建物が、古いながらも清潔を保っていたならば壁を残してリフォームしても大きな問題はなかったでしょう。
状況はすでに変わっています。
この壁も、破壊し尽くします。

3階窓際の屋根裏あたり
3階窓際の屋根裏あたり

出窓のあるあたりの上部。鉄骨がややこしく組んであり、荒材も雑に組んであります。少し雨漏りの跡があります。多分、屋上の防水をすれば解決するであろう箇所です。
窓上の壁を剥がそうとしてちょっとバールで引っ張ってみました。ばらばらばらばら。例の黒いものが降ってきます。

ヘタレな私がひとりでは心細くて出来ないことも、みんながいれば勢いでやれます。
こういう勇気が要る作業は、平日のみんながいる現場っぽい状況で行いましょう。

屋上

屋上で綺麗な空気を吸います。

七夕はいつも雨が降ると決まってます。空はわりとどんよりしています。
さて、来週からの解体第二部に備えましょう。

カミングアウト

7月5日にはやっと風呂場の壁の解体が終わり、二階はこのような状態に。

kaitai1_033.jpg

青のスプレーで「×」を書きます。壊す印です。こちら側の壁はALC*1ですので、安心して壊せるのです。

kaitai1_034.jpg

風呂場の壁はまたしてもモルタルでガッチリ作られていますから、これを破壊するにはチームKの工具と筋肉が必要になります。

kaitai1_035.jpg

写真正面と右側の壁、この壁の裏は下地の寸三*2がCチャン*3に取り付けられています。ネズ公のミイラは、Cチャンの間に挟まっていることが多いので、この壁の向こう側を想像するとぞっとします。

実は時系列的にこの時点ではまだ設計をやっている最中で、カテゴリ05. 設計の最後で示した図面を作ってる途中、カテゴリ04. キッチン/バス/水回り設備選定で示した決断をやっとして発注をかけた直後、カテゴリ07. 直前準備で書いたテキパキした決定や行動をこれからやろうとしている、と、そんな状況下にあります。

妻は7月1日の時点で現場を見ていて、ある程度の惨状は知っています。しかしネズ公の死骸についてまではまだ知らない。
ついに妻に切り出すときがきました。
「あのな・・・」
じつはゴキとネズがな、糞が堆積していてな、もの凄い臭いでな・・ついでに死骸というかミイラが・・・
おとぎ話のように穏やかにそしてミイラの数に関しては「ひとつかふたつ」などと、ちょっと少なめのサバを読みながら状況を妻に説明します。
「それでやな、残す予定の壁とか間取りとか階段室の天井あるやろ? その前に立つとやな、その向こう側から強烈な臭いが」
「皆まで言うな」こういうとき、妻は非常に男らしいのです。「全部壊そ」
チームKに追加のお願いをして、ついでに大工の助けもたっぷり必要になるし工期もやばくなるけど、と女々しく説明する私。
「そんなんどうにかなる。何とかなるわ」
まこと頼もしいのです。


*1 ALC
気泡コンクリート。セメントの中にスポンジ状の気泡が入っていて、パネル状になっている。
*2 寸三
一般には「野縁」と呼ばれる材木。断面の寸法である1寸3分の略。大阪近辺で使われる言葉。1寸3分(39mm)なのに、実際は36mm。製材前の寸法を基準にした言葉なのでしょう。
*3 Cチャン
断面がC型の鉄鋼。屋根材や外壁材の下地、梁や床の根太として使われる。

最初の解体途中、鬱々と思案

「明日もまた解体の続き」なんて書いた後に思い出しだしたんですが、チームKは7月1日以降は他の現場があるためしばらく来れないのでした。よくよく思い出せば、6月中の解体完了を目指していて少しまだ作業が残っているといった状態だったような気がします。記憶ってあやふや。

この当時の計画では、建物を取り巻く壁や一部間取りなど、残すところは残すつもりでした。

解体の悩ましい図面
解体の悩ましい図面

この適当な解体目標図面に欠けているのは、外周の内側の壁についての考えが足りないところです。
N&Gの混乱で、頭の中では解体計画変更、もっと解体「何も残したくない」の声が沸き上がってきている頃です。
日付2007年7月1日、ひとり現場に赴き、掃除や物思いなどを行いがなら、解体途中状態をゆっくり観察します。

一階トイレ前
一階トイレ前

1F、正面に見える黒いタイル壁の向こうがトイレです。これは残します。
黒タイルの上部に木の細工が見えます。これは、ここに大きなエアコンが取り付けられていた場所です。
ここは解体します。のこぎりとバールがあれば、自分でも出来ます。

しかし多分、確実に明らかに、またN&G地獄が待っています。
この場所の右側に見えるのが、店舗部分と奥の厨房を仕切る壁面部分です。

解体図面を見ると、ここを残すつもりでいることがわかります。
表面だけ剥いで、壁を張り直すだけの予定だったんですね。
「しかし、壊したい」
板きれの隙間に堆積している黒いドロドロの糞固まりを見ながらそう思っています。

一階天井配管
一階天井配管

給排水管を眺めます。これを交換するのは設備屋さんです。現場を見に来て貰う約束を取り付けます。

井戸発見
井戸発見

井戸発見。階段室の階段の裏側というか下側というか、階段下です。

恐ろしい予感がします。写真の、奥の右にまだ少しスペースがあって、そこがまた恐ろしいことになっています。
あまりの恐ろしさに眩暈がしました。恐ろしすぎて写真はありません。
壁をよく見ると、少し暗い汚れがくにょくにょ這うようについています。
この暗いくにょくにょした汚れは、よく見ればこの建物中に付いているんですが、何だか判りますか?
これは「ラットサイン」と言って、ネズミが這った跡らしいのです。

階段のクッションフロア
階段のクッションフロア

階段室は昭和のクッションフロア。これを剥がすのも至難の業だろうなあと溜息。

階段室の天井
階段室の天井

階段室の天井。

一見、綺麗な天井が貼ってあります。最初は、再塗装で済まそうと考えていたところです。
しかし今は違います。

天井裏を放置したままで平静を保つことは不可能です。それに、一階の天井をめくると気づくのですが、天井が繋がっています。
途中までめくられた箇所から階段室の天井裏を覗けるので覗いてみると予想していたとはいえ悪夢の光景に仰け反ります。
1Fから3Fまで、かなりの面積になりますが、この天井も剥がさないではおれません。

二階解体
二階外周壁

こういう外回りの壁、計画当初は深く考えず、残そうと考えていたわけです。間取りと壁、天井と壁、繋がっているという当たり前のことに気が回らなかったのですね。

風呂場解体
風呂場解体

風呂場の手前で作業中断状態。堅い中ボスの破壊はやはり手間取ります。チームKの次回活躍に期待。

三階
三階

三階は残す残さないの細かな指定をしてしまったために作業がなかなか進みません。
図面のように都合良く残して上手くいくと思っていたようです。
「全部やっちまって!」と、最初から言えばこんなに手間はかからなかったのです。
三階

三階はまだ途中です。天井を剥がしただけの状態。

三階

もしG&N問題がなければ、こういう壁を残して内装仕上げだけのリフォームで済まそうという計画になったでしょうか?
なりませんなりません。こういう状態を見れば、普通に「もう全部やっちまおうぜ」と思うでしょう。
もう、だんだん、こういう残り物が疎ましいだけになってきました。
最初は可愛いと思った昭和風建具も、鬱陶しいだけです。棄てます。

3階入り口付近上部
3階入り口付近上部

壁を残して天井を貼り直せるか?接合はどうする?作業手順は?否、否。出来ません、そんなややこしいことは。

「のこし」
「のこし」

「のこし」と書いた大きなメモが恨めしい。
自分で残すと決めたのに、今は心が揺れている、出来ることならこの場所も、全て壊して消し去りたい、とてちんしゃん。
と、都々逸を詠ってる場合ではありません。この時点、まだまだ悩んでいます。
今、未来から振り返って浅墓なる施主に助言を与えてあげたい。「やっちまえ」

三階の残す部分?
三階の残す部分?

じゃあここを残すとして、境界部分はどうするのだ、との思いを込めた一枚。

中途半端な解体
中途半端な解体

そう、壁の一部を残すという考えは、以下の考察を元に生まれた考えです。

1. 壊す手間が省けて解体費用を節約

2. 作る費用が省けて造作費用を節約

何という甘い考えでしょう。大いに間違ってます。
一部を残すというのは、実際には以下のような状況を生むだけなのです。

1 壊す手間が増えて解体費用が嵩む

何度も書いたように、壊す部分と残す部分を分ける作業量は半端じゃありません

2 作る費用が増えて造作費用が嵩む

当然ながら、残した部分と新規部分を接続する箇所の造作工事は非常に手間のかかるものになります

そしてG&N問題によって生じた心情的な「全部作り替えたい」という強い気持ちが発生しています。
このときにはまだ施主兼設計士兼・・私の胸にしまったままの秘密の大問題です。
この問題はもう打ち明けるしかない。そして、工事代金も覚悟を決めるしかないのです。解体計画も変更するしかないのです。ドーン。あと倍壊す。

人間、追い込まれたらどうにかなります。私は、追い込まれないとどうにもならないタイプです。

害虫駆除、清掃、消毒の問題

 

ついに最初のヤマ場、G&Nについて書いてしまったわけですが、さあ大変。この事件によって、夢と希望の浮ついた改装計画が根性と堅忍の現実計画へとシフトします。

ゴキブリ、ネズミ、駆除、害虫などという身の毛もよだつキーワードでググり続け、プロの手に委ねようかと思い何社かにそれとなく電話を入れてみても、所謂害虫駆除の対象とはちょっと違うってんで、様子を見てまた連絡ちょーだいみたいな返事が多い。

そうですね、今住んでて害虫に苦しんでる分けじゃないし、どちらかと言えばこれから予防すべき課題ですね。
解体によってむき出しになった各箇所を、とにかく徹底清掃、その後消毒、その後コーティングと手堅くいくしかありません。

チームKが他の解体に取りかかってる間にも、施主兼設計士兼現場監督兼作業員兼清掃業者兼消毒係の私としては、重装備で鉄骨や壁に付いたドロドロをケレンしたり、細かく残った下地のコンパネや木材を丹念に切り取って掃除したりと吐き気を堪えて頑張ります。

消毒液を何ケースかまとめ買いする手続きを取り、現場へ向かいます。

そんなこんなで最初の解体はこのような状況になりました。6月30日の写真です。

一階の解体
一階の解体

1F

正面を除き、大きなところが解体済み。電気コードや換気扇ダクトが無残に垂れ下がります。
水道管がこういう風に通っていると初めて確認。管は新しくしたいところ。
棚を残しましたが、この棚にも死骸と糞がありました。壊せば良かった、とも思いましたが徹底清掃で乗り切りますっ。

二階の解体開始
二階の解体開始

2F入り口あたり

ALCで覆っているのかと思いきや、ラスとモルタルの壁は内側こんなんです。これちょっとショック。
この状態で内装壁を破壊すると、次作るのが結構大変なことに。
窓のある側、外壁と通じている壁ですが、この期に及んでまだ「残すべきか」と思っています。
二階にはネズ公の死骸もまだ出てないし・・・・・・・・・・・出ました。

キッチンの解体
キッチンの解体

キッチン跡。タイル壁、その下地がまだ残っています。もちろん破壊していただきます。

羽型の換気扇が見えますが、この換気扇は後で付けたもののようです。なぜキッチンの上のレンジフードがあるのにわざわざ別に換気扇を取り付けたのか、それは次週お伝えしましょう。

階段撤去
階段撤去

階段の撤去後

おお。これは面白い。
みんなも面白がって「ここにエレベーターを付けよう」とか「棒を立てて消防士みたいなアレを作ろう」とか大はしゃぎ。私もだんだんその気になってきて、工場にあるような荷物エレベーターを付けたくなってきました。

トイレ解体
トイレ解体

トイレ跡地

おぇ。トイレ壁も頑丈なモルタル壁です。何かと頑丈に作られています。
撤去撤去。

風呂解体
風呂解体

風呂跡

おぇ。早く壊したい。一刻も早く消し去りたい。
しかし壁が頑丈です。ブロックとモルタル、ここは外かっ。

二階間仕切り解体
二階間仕切り解体

間仕切りに利用していた躯体の鉄骨

この部分は、後になって大工が面白い細工をしてくれた。
3F

仏壇跡地
仏壇跡地
三階天井解体
三階天井解体
三階間仕切り解体
三階間仕切り解体

三階は「間取りを残して再利用」なんてふざけたことを考えてました。
そのせいで解体作業が非常に難航したのです。のこぎりで丁寧に切り取ったり、残す部分と残さない部分の境目の処理が大変です。
なんて馬鹿なことを考えていたのでしょう。この状況を見て「うん。壁は残して大正解」なんて言えるわけがありません。


ここまでの解体にかかった日数は覚えていないんですが多分1日か2日か3日か4日。あまりにもドタバタしてて全く覚えていません。

たのもしいチームKが帰って行った後、1人残ってまた小さな木工の解体と清掃、壁と天井の隙間を見つけてはコーキングとウレタンフォームで穴埋めを行います。
明日もまた解体の続き。
めげてなるものか。
涙を堪えて帰途につきます。

最初の解体 -恐怖体験-

最初の解体は多分、2007年6月30日かその前日あたりから。

解体業者、チームKの面々がが現れるまでに、施主兼現場監督兼作業員兼設計士としては、片手にバールとのこぎり、片手にポカリスエットをたっぷり詰めたクーラーボックスを抱え、朝も早よから現場へ出勤です。

チームK登場。屈強な男達が乗り込みます。
まずは一階からスタート。

一階は、奥のトイレ付近と、カウンター後方の据え付け家具を残し、全て撤去です。
壁を剥ぎ、天井をめくります。
ちょっと勿体ないな、と思っていた天井の造作、シャンデリア、ダウンライト、壁の飾り縁など、お構いなしに全破壊。
がりがりがりべりべりべりゴリゴリがりべりごり。

このとき、初めてあのおぞましい恐ろしい光景を目にします。
これまで何度も思わせぶりに書いてきたあの恐ろしいおぞましい出来事に遭遇した最初の瞬間です。

それは、一見綺麗な天井をめくると同時にやってきた。
大量の埃やゴミと一緒に降ってきたのは、G&Nの死骸と糞です。ゴッキー&ネズーです。

そうです。ここは元飲食店。しかも閉店して10年。なのに全て放置されたままの言っちゃ悪いがゴミ屋敷、G&Nの巣窟となっていても何の不思議もありません。

G&Nの糞は、「ばらばらと降ってきた」というレベルじゃありません。
堆積して固まり、層になって折り重なった泥の固まりが、どすっ、どすっと落ちてきます。

ミッキーの死骸は猫かと思える大きさで、配管や梁の隙間にうずくまっていたり天井裏に張り付いていたりします。ミイラ化しているのです。
そして初めて気づいた、この臭い。

最初から、この建物は何か臭うなあとずっと思っていて、「家族八景」じゃないけど、何十年の人の生活の臭いなのかな、などと考えていたんですが、この臭いこそあの臭い、ネズ公の死骸と糞の臭いに他ならないと判りました。
臭いは鼻腔を通って脳に到達し、「一生忘れない」フォルダに飛び込んで格納されフォルダロックされました。
話は逸れますがこのフォルダにはもう一つ別の臭いも格納されています。それは人間の死臭です。ま、これは話が長くなるのでまたの機会に。

「おぅ」
「うぉ」
「わぅ」
解体現場に慣れているはずの屈強な男達が低く叫びます。

天井だけでなく、壁の下地の合板の隙間、モルタルから少し浮いたタイル面の隙間、引き出しの中、あらゆるところにG&Nの糞と死骸です。

私はもう涙目です。
バールを持つ手が完全に止まってしまいました。

CチャンのN
Cチャンベッドでお休み

 

桟木のN
桟木でお休み

これはえらいことになった。
このことは妻には内緒だ。

妻はネズミが普通以上に嫌いで恐れている。このことを知ったら「この家やめます。返します。返品。もう嫌。もう死ぬ」と泣き叫ぶに決まっています。
しかし嘘をつくことも出来ず、私は後日妻に控えめにこういいました「汚かったよ。ネズミの糞とかが、ちょっと出てきたらしい

さて屈強な男達はそれでもそんなことにはめげず、今度はプロしか持てないコンクリートを削り取るエンジン工具などを持ち出し、カウンターやモルタル壁を破壊します。

夕方には一階のほとんどが破壊され、2階も一部解体を開始して廃棄物が散乱、その廃棄物を大まかに片づけて今日の作業は終了。

大量の廃棄物を整理してトラックに積み、小さなものはガラ袋へ入れ、掃き掃除して現場を後にするチームKを見送り、1人残された哀れな施主兼現場監督兼設計士兼作業員の私はその場にぼーっと佇みます。いえ、本当は頭の中がフル回転。

さてどうしたものか。

一階の解体