光る宇宙の工程

光る塗料を用いての宇宙の描画、その描く手順、工程のご紹介です。

ベース部分

最初は真っ黒に塗り次にルミライトで星を散らしましょう。
その後また黒を散らし、次にルミライトをまた散らします。
繰り返し作業で徐々に粒を小さくしていく。これでベース部分を良しとします。

 
黒ベースにルミライトの白粒、その上にまた黒粒、これを交互に繰り返してベース部分を作ります。

 

星雲を描く

つぶつぶの星ベースに、星雲を描き始めます。
まずは通常の絵の具で通常の光の下で描き始め、一段落ついたところでブラックライトに切り替えてルミライトで塗り重ねます。
いい感じに光ってきたなあなんて思ってると、再び通常光で見た時に白濁しているのでまた絵の具で描き足します。いい感じになってきたなあなんて思ってると、再びブラックライトに切り替えると発光が減っていてがっくりくる。そこで再びルミライトで描き足します。
これを繰り返して、通常光とブラックライトでの見え方の丁度良い案配を見つけるのです。

 
通常光とルミライトを切り替えながら妥協点を見つけていく

星や星雲を描き込む

次のステップはさらに星や星雲を描き込む工程。
上手に星が描けたなあなんて思ってると、ブラックライトで照らすとそこだけ真っ黒だったりすします。普通の絵の具で描きすぎると光りません。
そこで照明をルミライトに切り替えて、光る星を描きます。上手に星が光ってきたなあなんて思ってると、通常の照明に変えたときに光る絵の具は白く濁ってぼやけていたりします。

そこで星をさっきより細かい密度で隙間を空けつつ描きます。
次にブラックライトに切り替えてまた確認。
さっきは光っていたのにまた黒くなっています。そりゃあそうです。普通の絵の具で描き込んだからです。そこでルミライトを使ってさっきより細かい密度で隙間を空けつつ光る星を描き足します。

次に通常の照明に切り替えて・・・(以下繰り返し)

通常光ではこのように見えます。 ルミライトで光る部分をがんばりすぎてちょっと白くボケた部分も見受けられます。
ブラックライトで照らすとこのように見えます。 通常光での描画をがんばりすぎたので、光りが弱っています。この後、ルミライトでさらに光らせます

 

照明を切り替えて確認しつつ絵の具とルミライトで(以下慎重な繰り返し)

大きな星や星雲を描く

お楽しみ、大きなオブジェクトに取りかかります。
このあたりまで来ると大きな変更が出来にくくなって、慎重さが増し、神経症的な繰り返し作業となります。背景部分が出来ているので繰り返しの全てのタイミングでマスキングも施します。

 

地球部分。よいバランスになってきたようです。
右上の赤い星雲部分は、通常描画でがんばりすぎて、ブラックライトに切り替えた時にまた光が弱っています。そこで今度は光らせるために…(以下神経質的に繰り返し・・・)

完成に至る道

という感じでぐんぐん仕上げに掛かります。病的でしかも楽しい細かくも大胆な描画。

 

 

 

完成・取付け

取付は現場の大工さんが厳かに行いました。

 
完成したものを取付けた状態。

初出:2004.08.16 細井工房

補足

ルミライトとの共存

ブラックライトで照らすと発光する材料ルミライトは、通常光では半透明の白色であり絵の色を濁らせてしまう。通常の鑑賞には耐えない。

そして通常の絵の具はブラックライトに無反応のため夜間では真っ黒に見えてしまう。

色をくっきり出すと光らない、光らせようとすると白く濁る。普通の描画とルミライト描画は、本来このようにトレードオフの関係にあるのだが、これを克服するためにはオブジェクトひとつひとつに対して、小さな面積の個別の隙間のある入れ子工程を重ねて繰り返すしか方法がない。

工程

背景はまず高濃度のルミライトの粒を広範囲に塗りきることから始める。このとき通常の見た目は全面白。部屋を暗くしブラックライトを当てるとまぶしいほどの白の爆発が生じる。

次に黒や濃紺の通常の絵の具を塗り重ね、通常光で見える白い星も注ぐ。通常光とブラックライトを交互に照らしながら妥協点を見つけていくのが制作のかなめとなる。

これで背景を完成させ、以降は一切手を触れない。

オブジェクト

ひとつの惑星や銀河をひとつのオブジェクトとして、一工程一色づつマスキングを繰り返して描いていく。
一色使用するたびに通常光とブラックライトを切り替え、多色刷り版画のように丹念に作業を進める。エアスプレーを用いるため、一色ごとのマスキング作業は気の遠くなる作業量となった。

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