細井工房の仕事

何屋かと言えば「絵描き屋」というしかありません。が、特に壁画関連に特化しているため、「壁画屋」と名乗ります。しかし壁画ばかりじゃありませんので、それに加えて漠然と「アートワーク」屋であると名乗ります。

アトリエ制作

細井工房です。最初にこの屋号を付けたときは、安部公房みたいで、洒落た名前だと思っていましたが、それは間違いで、巷によくある零細個人事業の一般的な屋号でありました。そんな細井工房は依頼を受けて絵を描く仕事をしています。

細井工房は何屋か

細井工房が何屋かと言えば「絵描き屋」というしかありません。が、特に壁画関連に特化しているため、「壁画屋」と名乗ります。しかし壁画ばかりじゃありませんので、それに加えて漠然と「アートワーク」屋であると名乗ります。

「一言で表現出来ないのは駄目な証拠である」と言われますが、一言で表現するのは大層難しいです。

じつは装飾美術

実は正確には「装飾美術」ということになります。または「デコラティブアート」です。主に壁画や天井画など、建築に関わる描画全体を指します。

しかし「装飾美術」や「デコラティブ」という言葉のニュアンスが、我が国では少し違ったふうに取られがちであるため、ちょっとだけ避けています。
内装業に関する、クロスやカーテンなんかの世界で「デコラティブ」という言葉をよく使われますし、「装飾美術」と言えば調度品や装飾品をイメージすることもあるようです。ですのでデコラティブアートや装飾美術って言葉は、それ自体は正しくても一般的に馴染みが薄い、或いは誤解されそうな言葉であるため、具体的に「壁画」あるいは幅広い意味で「アートワーク」と名乗っています。

エイジング

「エイジング」という言葉も一般的になってきました。かつて昔、現場などで我々のことをどう呼んでいいのかわからない他の職人さんに「ペンキ屋さーん」と呼ばれたものですが、今では「エイジング屋さーん」などと声をかけられます。エイジング屋なるものがどのような立場にいるのか少し伺えます。

実際にエイジング屋がエイジングをしているところを見るのは少なく、大抵は特殊塗装や汚し塗装と呼ばれる味わいを作り出す塗装仕上げを行っています。つまり装飾美術の範疇であるエイジングを実際に行っているのは多くの場合塗装業者であるということです。

トロンプルイユ

トロンプルイユ(Trompe L’oeil)の一形態である「大理石のような描写や塗り」も、我が国では塗装に分類されることが多いです。
多くの場合、大理石そっくりに見せる、いわゆるフェイク作りに利用されるからです。フェイクとしての大理石塗装は「石目塗装」「特殊塗装」というふうに呼ばれています。
少し違うものとして、描かれたことを主張する大理石描画も存在します。こちらはトロンプルイユとしての正統なデコラティブアートで、空間演出のために採用されます。

さてもちろん我々もそれら仕事を請け負い、行います。
アート分野としても、職人仕事としても、両方をこなすことが出来ます。この両方をこなせるのは自慢の一つです。

壁画や絵画

壁画や絵画を描く仕事、これにもいろいろな段階というか違う職種に該当するくらいの分類があります。

アートを生み出す

まず絵描きと言えば絵を生み出すことと相場は決まっています。絵を生み出すとは分類上「原画を作る」作業となり、職業的には「デザイン」ということになります。

このデザイン・原画の段階とは、当然ながら依頼主の意向を汲むということで、好き勝手に絵を描くただのアーティストとは根本的に違うところです。

ところがごく希に、この好き勝手に絵を描くただのアーティストとして御依頼をいただくこともあります。まことに光栄なことです。

もちろん「好き勝手」の度合いは所謂芸術家のそれとは雲泥の差がありますが、まずこれを最初の分類として挙げておきます。

意向を汲む

次の段階として、依頼主の職業や意向の度合いによる差違があります。

漠然としたイメージ、例えば「楽しい感じで」「上品な」というような意向があります。ここから、絵だけじゃなく塗装の色や素材などを提案する場合もあります。プランニングのお手伝いです。

もう少し具体的に「風景の絵を」「昭和ふうで」「だまし絵を」「模様を」というご意向もあります。

さらに具体的なイメージをお持ちの場合も多いです。「ベルサイユ宮殿のような」「浮世絵の」「(実例写真を見せて)こんなだまし絵を」という感じです。設計士様が具体的なスケッチをお描きになって、それを元に膨らませていく作業も多くあります。

原画を尊重する

次の段階はもっと職業臭くなってまいります。

すでに原画が存在している場合です。

その原画は、数百年前の名画、デザイナーの渾身の作、さまざまです。原画の完成具合の差はあるものの、この場合は「拡大して描く」という、まさに描き屋仕事の範疇です。この範疇の仕事は昔は「書き絵」というジャンルでした。今ではこういうのも含めて「壁画」と図面に書き入れることも多く、少しややこしいことになっております。

原画を渡されて、それをただ拡大するだけの書き絵に対して、壁画屋としては拡大するにあたって最適な技法や肌触りを作り上げていく力量が問われます。絵画の専門家でないと無理なレベルであり、こういうところにも我々の価値が確実にあります。
ただ拡大するだけなら印刷で十分です。ただの拡大と、壁画として仕上げることには大きな違いがあります。
この件は深いのでいずれ別のお話として。

2010.02.25

細井工房