Painter で林の絵を描いてみる

これはコンピュータグラフィックの原画作成、その工程記録です。コンピュータの話なので記事の古さが際立ってます。

Painter

PainterというのはMac用のお絵かきソフトです。[*1]
パステル水彩油絵鉛筆、コンテにパステル、クレヨンと、画材のあれやこれやをシミュレーションして、本当に絵の具で描いたような仕上がりになるというコンピュータグラフィック作成ソフト。バージョン1の時からのお付き合いです。
絵を描くときにはペンタブレットという装置を使ってペンと画布代わりに描きます。

Painterが実際の絵の具の代わりになるわけはないにしても、印刷を前提としたイラストレーションの場合には相当有効に使えるのではなかろうか、ということで描いてみました。
コンピュータを使えば絵が一発で描けると思っている人もいるようですがそういうわけでもなく手順は普通に絵を描くのと同じようなものです。もちろん普通に描くより面倒なこともあれば非常に便利なこともあります。

下絵

で、こういう感じの下絵から始めたりするわけですが、ペンタブレットがいかに性能が良くなろうとも描きにくいものは描きにくい。普通に鉛筆や水彩で描いてスキャナで読み込む方が良いと思われます。でもこれは生でペンタブレットとペインターだけで描いています。なんとなく意地です。

トリミング

必要箇所をトリミングして、べたべたと色を塗ってまいります。Painterの困ったところは妙に味わいのある筆が用意されていて、つい甘えてそれを使ってしまうところです。
だから作業を初めて間もなくであっても、割と雰囲気が出たりします。
現実の絵の具の世界では「ぼかす」ということは難しい作業なわけですが、そのあたりはコンピュータの便利なところでしょうか。
でも逆にペンタブレットでは思ったようなストロークが描けずに、普段なら簡単に描ける線がなかなか描けない。
CGを使うことによって、より時間がかかってしまうというのも事実です。

描き込み

じっくりと描き進めています。このあたりの作業は非常にかったるいのです。
絵の具で描くほうが早くて、深みもでます。
特に、筆を「てん、てん、てん」とか「さく、さく、さく」と素早く動かすような描き方をしたい場合、ワンテンポ遅れて描写するPainterの限界を感じます。自然描写をCGと比較するのはそもそも無理があるのですが、でも考えようによっては実際の絵の具とPainterを比較するとは、それほどPainterの表現力が良くできているとも言えますね。

点描

その最も作業しづらい「てん、てん、てん」「さく、さく、さく」を辛抱して続けています。
実はこの林の絵は仕上がりサイズが大きいので小さなモニタではさらに辛い作業になります。
保存するだけで数分間待たねばならないのもきついところ。
作業しながら「本物の絵の具のほうが良いよう」と泣きが入ってまいります。何が悲しゅうて普通の絵をコンピュータで描かねばならないのか、なぜこんな夜中まで「さく、さく、さく」とのんびり作業しているのか、ここはどこなのか、そもそも自分は誰なのかと仕舞いには阿呆状態に陥ってしまいます。

全体の色味を変える

なんとコンピュータで絵を描くことの素晴らしさ。
「全体をもっと淡く、セピア調にしてくれませんか」というご注文を受け、コマンド一発でセピア調になりました。これはいい!

こういう商売をしていると、絵の仕上げ最後の最後になって「良い仕上がりですねえ。でも全体に明るくしてもらえませんか?」などと平気で言われることもあるのですが、現実世界の絵画ではそんなことが簡単に出来るわけがないのです。

CGではそれが1分でできる、しかも何度もやり直せます。じーん。
というわけで完成です。
とてつもなく時間がかかりました。
いつかコンピュータがもっと早くなれば、もっと速く描けるでしょう
・・・いや、コンピュータが速くなってもソフトが重くなってサイズも大きくなっていくだろうから、やっぱり重いものは重いままでしょうか。

 

初出2000.03.26