窓から見える椰子の森と海ができるまで〜制作工程

窓から見える椰子

現場制作

いよいよ現場に入ります。内装工事は終了しており、他の職人さんはいません。個人邸ですので煙草を吸いに行くのに遠くに行かなければならないということもなく、とても仕事のしやすい環境でした。ぴかぴかの新しい壁が仕上がっているので、さすがに現場内で煙草を吸うようなことはいたしません。それができれば効率が200%にアップですが、100%で十分です。建築関係や大きな現場だと喫煙環境が悪いためだいたい通常の半分以下の効率になります。
つまらないことを書いてないで工程記録を続けます。

1日目 位置決め・下書き・下地処理

最初に行うことは位置決めです。図面上で数値は決めていますが、現場で合わせてみると「ちょっとどうかな」と思うこともしばしばです。全体にやや低い場所に描くつもりでいましたが、現場で合わせてみると全体を50mmほど上げたほうが収まりがよさそうに思えてきて、しばらく悩んだ後そうすることにしました。

昔憧れていたレーザー水平期も駆使して、作ってきた原寸原画を壁にあてがい、それを元に壁に直接描いていきます。
長年こういうことをやっていると流れるような動きで工程を進ませることができます。
窓枠のきっちりした作図が完了したら中の風景画を下書きします。原寸の大雑把なスケッチをさらに大雑把にトレースして、それを元に壁に直接下書きします。
原画段階から何度も見て何度も描いている内容なのでこれも流れるように作業が進みます。

そして最初の養生をきっちりやって、下地の処理をします。薄く希釈したジェッソを繰り返し塗ります。

今回は諸事情により、道具や荷物の搬入やこうした準備作業も一人きりでやっております。
位置を決めたり測ったり養生したり下地を整える作業はあまり一人でやるものじゃありません。この工程に関しては思った以上に時間がかかることになりました。ここまでで丸一日かかりました。
ジェッソの乾燥も必要なので、これ以上は進めません。本日の予定終了です。

2日目 描き初め・海と空を決める

作業二日目。いよいよ絵に取りかかります。
本日の予定はレイヤー1、即ち最も遠景の空と海を仕上げます。今回の絵の計画では、遠くからレイヤー順に仕上げていくことにしています。

空に関してはエアスプレーを使用しました。若干イラストのような仕上がりになりますが、アクリル絵の具のような乾燥が速く溶けない絵の具は、大きな画面にグラデーションを入れることが不得手です。
遠景の背景であることもあり、雲と海のグラデーションはスプレーに頼りました。

3日目 遠景の森

作業三日目。一番遠い空と海、それからかすかに見える陸地などは出来ています。三つ目のレイヤーである遠景の椰子の森を描きます。

今回の絵は派手さを心がけていましたので、この中途半端な遠景に位置する緑色をどんな色にするかが悩みどころです。あくまで遠景ですから、派手にやりすぎると近くの木々に乗せる色がなくなってしまいます。
適度に淡く、でもきりっとした色に見えるような色が目標です。

 

インターバル撮影を利用したちょっとした描画ムービーもあったりします。
とてもわかりにくいですが、遠景の椰子の森が少しずつ描き込まれていく様子です。

ということで、事前準備から作業三日目までの工程記録でした。

長くなってきたのでここで一旦締めます。
引き続き、四日目から完成に至る工程記録を是非ご覧ください。